訪日中国人の動向について
2016.09.19
JNTOから発表されているデータをもとに、2003年から2016年7月までのデータをグラフ化しました。
青の折れ線グラフが単月訪日中国人数、ピンクの棒グラフが対前年比になります。
2011年は地震、2012年は政治問題を理由に大きく減らしましたが、2013年後半から大きな伸びを続けています。
ただし、2012年初頭の12円/元から2015年半ばの20円/元とその間大きく元高円安進行した事実も併せて考慮する必要が有ります。
JNTOから発表されているデータをもとに、2014年から2016年7月までのデータを年ごとに重ねたグラフです。
中国には大きな連休が年2回有り、それは2月頃(年により変わる)の春節(旧正月)と、10月頭の国慶節になります。その2回にピークが現れるかと思いきや、訪日中国人のピークは7・8月になっています。
2015年の訪日中国人数は499万人と発表されていますが、2016年は上半期の様子を見る限り、600万人を超える可能性が有ります。今までの様な急激な伸びは有りませんが、着実に増えています。
IFMのデータによれば、中国の一人あたり名目GDPは、
2014年:$7,625.79
2015年:$7,989.72
2016年:$8,239.89(2016年4月推計)
となっており、一般的に出国率が高まるという『1万ドルライン』を今後超えることになります。
JNTOのデータによれば中国人出国者の訪日率は、
2013年の出国者の訪日率は1.34%
2014年の出国者の訪日率は2.07%
となっており、
中国旅行局発表の2015年の海外渡航者数1.2億人とJNTO発表の訪日中国人数より
2015年の出国者の訪日率は4.16%
近隣諸国・地域の2014年出国者の訪日率は、
韓国 17.13%
台湾 23.89%
香港 10.04%
と、中国は近隣諸国・地域に比べ訪日率がまだまだ低いことから、訪日率が高まる可能性が高いと推測出来ます。
IFM推計で一人あたり名目GDPが1万ドルを超えるのは2019年。
この時点で出国率20%(2015年は9.2%)、訪日率を香港と同等の10%とすると、2,700万人の中国人が日本を訪れる計算になります。
2016年3月末に政府は2020年の訪日外国人目標を4,000万人と発表しましたが、上記推計(訪日中国人数2,700万人)からは達成可能な数字に見えてきました。
阻害要因があるとすれば、既に話題になっているように、ホテル等の宿泊施設の絶対数かと思われます。
建物を建てることも、スタッフを育成することも簡単で無い事はわかりますが、『また行きたい』と思って頂ける、そんな環境構築が重要でしょう。
中里